『ドグラ・マグラ』 夢野久作 (1889-1936)

角川文庫版『ドグラ・マグラ』の帯には、このように書かれています。

「ドグラ・マグラ」は、天下の奇書です。
これを読了したものは、数時間以内に、一度は精神に異常を来たす、と言われます。読者にいかなる事態が起こっても、それは、本書の幻魔怪奇の内容によるもので、責任を負いかねますので、あらかじめ御諒承ください。 =角川書店=

なんて無責任なキャッチコピーでしょう(笑)。
しかし実際には、このキャッチコピーは実に当を得たものだと思います。

この作品のあらすじを一言でいうと、精神異常者の探偵小説、すなわちある精神異常者が、何らかの原因でなくしてしまった自分の記憶を取り戻すべく努力するというものです。その結果見つけたものは……?

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『あした また森であおうね』 津田雅美

どんなものであるにせよ、たとえそれが音楽だろうと、漫画だろうと、小説だろうと、TVドラマだろうと、私自身を何かに駆りたててくれる作品が好きです。
もちろん、それを見たり聴いたりしている時は、それに娯楽性だとかリラクゼーション、あるいはリフレッシュを求めはします。でも、ただ面白いというだけで、言い換えれば単なる時間つぶしのためにテレビを見たり本を読んだりはしません。私自身への何らかのフィードバックが求められるようなものしか、私は視聴したくないと思っています。

つまり、激しく極論すれば教科書になるようなものしか読みたくないということです(笑)。

私を駆りたてるもの、といっても、別に大げさなものではありません。要は、それを見たり聴いたりすることで私も何かやってみよう、と思えるようなものが好きというだけです。
というわけなので、明らかに商業主義ともいえる最近の、いわゆるj-popの類は全くフォローしていません。フォローしていないというよりもむしろ、私の音楽シーンは10年くらい前で止まっています(笑)。したがって、周囲の人々たちからは白い目で見られています(笑)。

という前置きのあとに今回紹介するのは、津田雅美の『あした また森であおうね』です。

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『百億の昼と千億の夜』 光瀬龍

冷静に考えてみるとまったくもって荒唐無稽、という設定がSF作品には多々あるものです。ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、タイトルをみただけで「何すかそれ」って言いたくなりますよね。「アンドロイド」と「電気羊」がどう結びつくのか。そもそも「電気羊」って何? 電気の羊、これほどナンセンスな単語もないでしょう。
今回紹介する光瀬龍『百億の昼と千億の夜』の基本設定は、それに輪を掛けてナンセンスです(光瀬センセ、御免なさい)。「地球上で普く信仰されている神の姿に疑問をもったシッタータ(釈迦、仏教開祖)、プラトン(古代ギリシャの哲学者)、阿修羅王(インド神話の悪神)が、この世界に神として降臨した超越者「シ」、弥勒、その手先の帝釈天(仏法の守護神)、イエス(キリスト)たちと時間を超えた戦いに挑む…」といったものです。有名人がたくさん出てきますね(笑)。

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複写? 浄書? ~楽譜の著作権について

Q. 前略、私はヴィオラ弾きです。でも私が弾きたいのはヴィオラ用の曲ばかりではありません。ヴァイオリンの曲だって、チェロの曲だって弾きたいのです。でもヴィオラ版って非常に少なく、探しても探してもありません。どうしたらいいのでしょうか。
A. 自分で譜面を作っちゃいなさい。音楽は楽譜だけでは出来ないのだから。演奏者がいての音楽なのだよ。

……これは、正しいことなのでしょうか。最近私は、このような疑問に取り憑かれています。

あるいは、
「CDを個人的利用のために複製することは法的に認められている。楽譜もそうではないのか?」
この問いに答えられる人はいったいどれくらいいるでしょうか。

ここでは、このようなテーマについて考察してみたいと思います。
なお、筆者は法律の専門家ではありませんので、誤った解釈などしている可能性が十分に考えられます。また著作権はホットなネタであり、人によっては様々な解釈があり得ます(私による解釈も然り)。そのへんをふまえつつ、あなたも考えてみて下さい。

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Antique Soundノスゝメ

古~い録音やしょぼい録音の醸し出すなんともいえない雰囲気が好きです。
つまり、蓄音機が発する音楽が好きなのです。
きっかけはそう…今を去ること7年ほど前、WOWOWのノンスクランブルで放映されていたNiea_7というアニメを見たこと…だと思います。まゆ子のオンボロラジオから、そしてニアちゃんの拾ってきた古ぼけたポータブルレコードプレーヤーから流れ出すくたびれたサウンド…えかったのう。

とはいっても、私の手元には蓄音機はおろかレコードプレーヤーもありません。
それに、しょぼいいかれた音しかでないプレーヤーなんて普通は売ってません。

どうする? 俺よ?

しかしテクノロジーってのはいいものです。
そんなアンティークサウンドを再現してしまおうというソフトがあったのです。
それがiZotope Vinylです。

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